コラムCOLUMN

相続の話社会制度の話

親が認知症に?その前に任意後見制度を知っておこう!

2023.08.15

最近、友人や親戚から親の病気などの話を聞く機会が増えました。

というのも、私たちアラフィフ世代の親は70歳後半~80歳以上であることが多く、ちょうど病気などに悩まされる世代と言えるからでしょう。

例えば認知症などになったときには、財産を動かすことが難しくなります。持家を売却して施設入居の費用を準備しようと思っても、持家の売却ができないのです。

友人の話ですが、一人暮らしをしていた親が体調を崩し病院に入院、すでに遠方で生活をしている友人宅の近くに転院することになりました。親には持家がありましたが、空き家状態になったため、売却を検討していたところ認知症と診断され、売却は難しくなりました。とはいえ、空き家状態にしておくと、家はどんどん傷むし、遠くに住んでいるため何度も家に来るのは難しい・・・という状況に。

そんな事態に備え、親が元気なうちに子供を任意後見人としておくことで、認知症などで1人では判断ができなくなったときでも子供が親に代わって家の売却なども行うことができるのです。

任意後見人制度、とは、あらかじめ自分が選んだ人を任意後見人とし、代わりにしてもらいたいことを契約で決めておく制度です。内容を公証人の作成する公正証書に残しておきます。

公正証書を作成するには、手数料等を含め15,000円程度の費用がかかります。ご自身で手続きが難しく司法書士などの専門家に依頼すると報酬として別途10万円前後がかります。
その後、判断能力がさがったときには家庭裁判所に申し立てし「任意後見監督人」の選任により、任意後見契約の効力が生じます。親の不動産等の売却などの法律行為を行うことができるのです。

任意後見監督人には報酬が発生します。財産の額により報酬は変わりますが、月1万円~3万円程度のケースが多いようです。

費用もかかるし、報酬も別途かかるし、お金がかかるのは厳しいなぁ、と思うかもしれませんが、特に残された財産が大きい場合や、不動産などの財産がある場合には、任意後見人の契約をしておくことをおすすめします。知り合いの司法書士の先生も、任意後見人の契約はしておいた方がいい、と強く勧めておられました。

任意後見人を決めていないうちに認知症などになってしまった場合、法定後見人制度を利用して財産の管理をしてもらうことも可能ではありますが、家の売却などには家庭裁判所の許可が必要で、時間がかかったり許可を受けるのが難しいケースもあります。

元気で意識もはっきりしているから「急ぐ必要はない」と考える方も多いと思いますが、いざケガや病気になってしまうと、手続きをする余裕がなくなり、あっという間に判断能力が下がってしまうこともありますので、早めのご対応を!