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相続の話

相続の問題、向き合っていますか。財産がどのくらいあったら相続税を支払わなくてはいけないのか

2023.08.16

親族が亡くって財産を受け取る場合、すべてのケースで相続税が発生するわけではありません。

相続税は「3,000万円+法定相続人の人数×600万円」以内の相続額であれば、相続税を支払う必要はなく税務署への申告も不要です。

配偶者、子、親(祖父母)、兄弟姉妹が法定相続人となりえるのですが、法定相続人として数える順番があります。まずは配偶者と子がいれば、必ず法定相続人となります。

・配偶者がすでに亡くなり子どもがいる場合は、法定相続人は子どものみです。
・子供がいない夫婦で配偶者がいる場合、法定相続人は配偶者と親(祖父母)となります。
・子供がいない夫婦で配偶者がいる場合で、親や祖父母が亡くなっている場合、法定相続人は配偶者、兄弟姉妹となります。

子どもがいれば、親や兄弟姉妹などが法定相続人になることはありません。ここが少し難しいところです。孫は親族ですが、子どもが存命の場合には子の子である孫は法定相続人になりません。

ケース1 ご夫婦、子供2人のご家族でお父さんが亡くなった場合
法定相続人はお母さんと子供2人となり「3,000万円+(3人×600万円)」で、相続財産が4,800万円までは相続税を支払う必要はありません。

ケース2 ご夫婦のご主人が亡くなり、奥さまとご主人のお母さんが遺された場合
法定相続人は奥さまとご主人のお母さんとなり「3,000万円+(2人×600万円)」で、相続財産が4,200万円までは相続税を支払う必要はありません。

その他、退職金と死亡保険金にも非課税金額が設定されていて、それぞれ「法定相続人×500万円」は非課税となりますし、現金で相続するよりも、不動産などで相続した方が評価額を抑えることができ、節税につながります。

お子さまや配偶者を受取人とし、500万円ずつの死亡保険に加入するのは大変有効な相続対策と言えるでしょう。

先日、「親が認知症に?その前に任意後見制度を知っておこう!」のコラムをアップしましたが、有効な相続対策がある、とわかっていても、親が認知症で判断能力低いと判断されると、死亡保険に加入するのも難しくなります。老後のお金に余裕があるご家庭であれば、早めに死亡保険などの相続対策をしましょう。

多くの資産がある場合には保険等の対策にプラスして、孫がいれば「教育資金贈与」、子世代孫世代が家を建てる場合には「住宅取得資金贈与」、その他毎年110万円までの「暦年贈与」などの制度をうまく利用しましょう。早いうちになるべく子や孫世代に資金を移しておくことを考えてください。

亡くなる7年前までの贈与は相続財産とみなされてしまうため、体調を崩してからこの制度を利用すると、相続財産に計上されることもあります。だからこそ、早目の対策が必要なのです。