住宅ローンの話
住宅ローンで"損する人・得する人"の違いはここにあった!
2025.06.30 / 担当:佐々木 茂樹
住宅ローンは、人生で最も大きな買い物と言われるマイホームを購入する際に、多くの人が組む長期的な借金です。数千万円という大きな金額を借りるため、その選び方や返し方次第で、総支払額が数百万円も変わってしまうことがあります。
「住宅ローンで損したくない」と思うのは当然のことです。では、損する人と得する人の違いは一体どこにあるのでしょうか?その答えは、住宅ローンを「選ぶ前」と「借りた後」の行動にあります。
~住宅ローンで「損する人」のNG行動3選~
1.銀行や工務店の担当者任せで、比較検討をしない
住宅ローンを組む際、多くの人は「普段使っている銀行だから」「不動産会社に勧められたから」という理由で、1つの銀行の提案だけを見て決めてしまいがちです。しかし、これが最も損する人の典型的な行動です。
金利、事務手数料、保証料、団体信用生命保険(団信)の内容など、住宅ローンの条件は金融機関によって大きく異なります。金利が0.1%違うと、4,000万円を35年で借りた場合、総支払額は500万円近く変わるケースもあります。
損しないためには、複数の金融機関を比較することが鉄則です。ネット銀行や地方銀行も含め、最低でも3〜4行の条件で返済シミュレーションをしてみましょう。
2.金利タイプの特徴を理解せずに選んでしまう
住宅ローンの金利タイプには、大きく分けて「変動金利型」「全期間固定金利型」「固定期間選択型」の3つがあります。
変動金利型: 半年ごとに金利が見直されるタイプ。現在は金利が低いですが、将来金利が上昇すると返済額が増えるリスクがあります。
全期間固定金利型: 借入期間中の金利がずっと変わらないタイプ。金利上昇リスクはありませんが、変動金利に比べて当初の金利が高めに設定されています。
固定期間選択型: 3年、5年、10年など、一定期間は金利が固定され、その後は変動金利になるタイプ。金融機関によっては、固定期間が終了すると自動的に金利が上がるような優遇金利(通常の金利から優遇金利を引いてその時の適用金利を決める)が設定されている場合もあります。
損する人は、「今は金利が低いから」という理由だけで深く考えずに変動金利を選んでしまいます。しかし、今後金利が上昇した際、返済額が家計を圧迫するリスクを考慮していません。 得する人は、金利タイプごとのリスクとメリットを理解しています。
3.家計に無理のない予算を把握していない
とにかく家が欲しい!自分の思い通りに作りたい!と、家計にあった予算を考えずに住宅ローンですべて借入してしまう方は、将来的に住宅ローンの返済が滞り、住宅を手放す結果になる可能性もあります。
まず、住宅ローン以前に、自分の家計で返済できる無理のない予算のシミュレーションから始めましょう!
~住宅ローンで「得する人」の賢い行動3選~
1.住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)を最大限に活用する
住宅ローン減税は、年末のローン残高に応じて所得税や住民税が控除される制度です。住宅ローン金利によっては、頭金などを準備せずなるべく多く借入した方が得になるケースもあります。
住宅ローン減税を利用するには申請が必要なのでマイホームに入居した翌年には、必ず確定申告を行いましょう。2年目以降は年末調整で手続きができますが、初年度の確定申告を忘れると、せっかくの恩恵を受けられなくなってしまいます。
2.借り換えを定期的に検討する
一度住宅ローンを組んだら、そのまま返済し続けるのが当たり前だと思っていませんか?
得する人は、金利の動向や自分の残高に合わせて、定期的に借り換えを検討します。現在の金利よりも低い金利で借り換えができれば、総支払額を大きく減らすことができます。特に、金利差が1%以上ある場合や、ローン残高が1,000万円以上ある場合は、借り換え効果が大きいと言われています。
借り換えには手数料もかかりますが、それを差し引いてもメリットがあるかをシミュレーションすることが重要です。
3.資産運用などで手元資金を増やす
得する人は、手元に余裕資金ができたタイミングで、運用等でお金を働かせることができます。昔は余裕ができればなるべく繰上返済を!と考える方も多かったのですが、住宅ローンの金利よりも、運用利回りの方が大きいケースが多いのです。
また、住宅ローンを借りていると「団信」という大きな保障が付いていることがほとんどです。無理して繰上返済するよりは、運用で資金を増やし、当初の借入期間を通じてしっかりと返済することの方がよりお得になるのではないでしょうか。
~まとめ:住宅ローンは「借りて終わり」ではない~
住宅ローンは、借りて終わりではありません。借りた後の「見直し」と「行動」が、損するか得するかの分かれ道となります。
あなたの住宅ローンは、本当にお得ですか?今一度、ご自身のローンの金利や残高を確認し、この記事で紹介した「得する人の行動」を実践してみてください。それだけで、あなたの未来の家計は大きく変わるはずです。