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社会制度の話

遺族年金の「5年打ち切り」時代へ・・・今後の民間保険加入の考え方

2026.03.17 / 担当:佐々木 茂樹

「万が一のときは国が守ってくれる」――そんな人生の設計図が、今、大きく変わろうとしています。

政府が進める遺族年金制度の見直しにより、これまで「一生涯」受け取れるはずだった遺族厚生年金が、多くのケースで「5年間限定」へと変わる可能性がでてきました。今まで遺族年金を計算に入れて保険を節約してきた方は、今後見直しが必要になるかもしれません。

1. 何が変わる? 改正の衝撃ポイント
今回の改正の目玉は「男女差の解消」と「生活再建支援へのシフト」です。

「5年の有期給付」へ一本化
これまで、夫を亡くした30歳以上の妻(子のいない場合)は、一生涯(終身)遺族厚生年金を受け取れました。しかし改正後は、原則5年間の有期給付に統一されます。

中高齢寡婦加算の段階的廃止
40歳から65歳までの間、年金額が加算される仕組みも2028年から25年かけて廃止に向かいます。

金額は「短期手厚く、長期は自立」
その代わり、最初の5年間の受給額は約1.3倍に増額されます。「最初の5年で生活を立て直し、その後は働いて自立してください」という国からのメッセージと言えるでしょう。

2. 「必要最低限の保険」だった人が直面するリスク
「遺族年金が月10万円出るから、保険は月5万円分あればいい」と計算していた世帯はどうなるでしょうか。

死別から6年目以降の「収入の穴」
最初の5年間は増額分でプラスが出るかもしれませんが、6年目から突然、月額10万円近い「収入の柱」が消えます。特に現在30代・40代の女性で、老後まで年金が続く前提で保険を絞っていた場合、数千万単位の不足が生じる可能性があります。

「子供が自立した後」が最も危険
お子さんがいる世帯でも、子供が18歳を過ぎた後は、配偶者の受け取る年金が「5年限定」に切り替わります。教育費が終わった後の「自分の老後資金」を遺族年金に頼るプランは使えなくなるかもしれません。

3. 今後考えなくてはいけないこととは

「5年後」のキャッシュフローを再試算する
改正後のルールに基づき、「遺族年金が止まる5年後、生活費がいくら足りなくなるか」を可視化してください。

「収入保障保険」の期間を再考する
これまでは「子供が独立するまで」で良かった保険期間を、遺族年金の短縮に合わせて、自身の定年や老齢年金の受給開始まで延ばす、あるいは増額する必要があるかもしれません。

「稼ぐ力」と「つみたて」を再定義する
国の保障が減る以上、最大の保険は「自分自身の就労収入」と「NISA等による資産形成」です。万が一の際、5年の猶予期間中にどうキャリアを再構築するか、今からイメージしておくことが重要です。

おわりに
現時点で制度見直しは2028年4月施行予定です。制度が変わることは不安ですが、裏を返せば、今のうちに気づけたのは幸運です。今回の改正は、男性(夫)も遺族年金を受け取りやすくなるというメリットもあります。

是非、新しい制度を反映したシミュレーションをご検討ください。